本人の長男が後見開始の申立てをした事案において,原審は,本人につき,後見開始相当との診断書があるものの,同診断書は一方で発語不能としながら,他方で言語による意思疎通が可能ともしており,明らかな矛盾があることなどから,その信用性に疑義があり,後見開始相当の常況にあるか否かを判断するためには鑑定を実施する必要があるが,本人から鑑定に対する協力が得られる見込みがないとして申立てを却下したのに対し,抗告審は,上記診断書の矛盾した記載は単なる誤記にすぎず,同診断書やHDS-Rの結果等によれば,本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると認められるとして原審を取り消した上,成年後見人の選任につき,更に審理を尽くさせる必要があるとして,審理を差し戻した事例